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大学院で学ぶこと。大学院に行くメリットは?その4 大学、研究室の選び方は?

ここしばらくひいらぎやの経験に基づいた「大学院」という場所についての説明をしてきました。今回は、大学院がどういうところでどのようなことをしていて、企業から見た院卒のメリットとデメリットについてまとめました。今回はじゃぁどうやって進学する大学院、研究室を選んだら良いかを解説したいと思います。

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過去の記事はこちらをご参照下さい。

どのように大学院や研究室を選んだらいいのかはもちろんですがあなたが今どのような立場にいるかによって異なります。大学入学を目指す高校生にとって、そして既に大学に入学している学部生にとって、そして修士課程から博士課程での変更というケースもあります。

大学入学を目指す高校生もしくは大学1〜2年生にとって

ひいらぎやがこの一連の記事を書くきっかけとなった相談、同級生の息子さんが大学の先生になりたいからという話のケースは大学1年生ということだったのでまさにこのケースです。

ここで大学1年生2年生と高校生をまとめましたがなぜこうしたかというと、これくらいの年のかただと、高校生はまだそこまで専門性が付いていないのと、そして学部に入ったばかりの大学生も卒論もそこまで意識していない段階だと思うので、ある程度同じような考え方が適用できると思います。

この段階でどう大学もしくは研究室を選ぶかですが、これはもう興味をもったことをいろいろとやってみよう!ということです。正直この段階で研究内容を狭めてしまうのはもったいなさ過ぎます。今後研究を行うにせよベースとなるいろいろな知識が有った方が当然良く、そして、特に若い頃に興味をもって取り組んだことと言うのは思いのほか頭や手にのこっているものです。

ですので、この段階ではまずはいろんなことに手を出してみましょう。もちろん高校生と大学生ではすでに大学受験で、選択が一発はいっているので、出来る事の種類は異なっていますが、出来る範囲でいろいろと目を遣ってみるとよいとおもいます。

大学や研究室によっては1〜2年生向けにも研究室紹介があったり、興味のある先生に時間をいただいて話を聞きに行くと、その後結構気軽に研究室に遊びに来たらといってくれるところもあると思います。人気が集中する研究室もある一方で人が足らない研究室も多いので、おおらかに若者を受け入れてくれる先生が多いと思います。軽い感じで研究室に訪問できるようになればしめたものですね。早めからいろいろな先生と顔見知りになっておくというのはいろんな意味でメリットがありますよきっと。授業のわからないところを直接聞きに行くと言うことも意外と大事です。

そういった中で一番面白そう!ということをこれから絞っていけばいいのです。

大学3〜4年生にとって

大学3年生4年生になると研究室に所属するという大学も多いです。この時点で研究室に所属しているわけですが、前の記事で書いたとおり教育を受けているという立場ですね。所属した研究室のやっていることが面白いと思ったら是非その勉強をしつつも、お友達が所属している研究室の様子を聞いてみたりしてみてください。

そして、その研究室のやっていることが面白かったらその中でも自分のやってみたい方向性を考えてみましょう。教育の段階を超えて研究の方向性がみえてくるかもしれません。そして、ちょっとでも見えてきたら先輩や先生に相談してみましょう。その研究室がドストライクにやっていない内容であればこの研究室なら、この先生ならと紹介をしてくれると思います。大学によっては大学院を持たないのでそういう場合もそうですが、研究会講演などで軽い研究発表を行ってその上でその場にいる先生に紹介してもらったり、先生が所属している組織横断型の研究プロジェクトなどのなかで先生を紹介してもらえることもあります。

可能であれば、まずは日本語の論文で良いと思うので興味がある論文を読みあさってみることです。学会のシステムではお金を払わないと論文が読めませんが(ホントこれなんとかしないとダメだと思いますけど)、大学のネットワークからは読めるようになっている大学がほとんどだと思います。

自分の興味がある分野の論文を書いているたくさん書いている先生の名前を探す。読んだ論文から引用されている論文を探してもともとの考え方の基本を示した先生を探す。そしてたくさんの論文から引用されている論文を探す。といった方法でその分野の最先端の先生を見つけることができるでしょう。

ひいらぎやは大学生のころにちょうど自分が通っていた大学にいらっしゃった理系のトップとも言えるべき東工大出身の先生にお話しを聞きにいって、こういう研究がしたいのですがといって何人か若い先生を紹介していただきました。

そして、いくつかの研究室を訪問していろいろと教えてもらいました。先生とお話ししたり研究室を見たりしてわかったことには例えば以下のようなことがありました。

  • お話しを聞きに行った先生に更に別の先生を紹介してもらえる
  • 同じ先生を複数の先生が教えてくれたらきっと自分のやりたいことに合う先生はこの人
  • 大学院生ともなると同級生は社会人、収入もきになりますが、ここにいると先祖代々こういうアルバイトがあるよと出来そうな内容を教えてもらえる
  • 研究室が持っている機材がわかる
  • 研究室の雰囲気がわかる
  • たとえばひいらぎやがお邪魔した研究室ではゲーム専用ブース(大画面のディスプレイと畳)があったり
  • そういうところは先生がそれを認めておりきっと学生みんなでわいわいがやがやと仲が良いんだろうなと想像できる

場合によっては結構長い移動が必要ですけれどできれば、入学前に意中の研究室は見に行った方が良いです。ひいらぎやはいかなかったですけど(笑)

こうやって更にやりたいことを絞っていくことでやりたいことを見つけましょう。

大学院生にとって

大学院生にとって研究室を選ぶというのはおそらく修士から博士の段階での転籍というケースがあると思います。切りの悪いところでの転籍のケースとして先生が別の大学に移ってしまったりというケースがありますが、こういうケースでは学生も付いていくというパターンもおおいですね。修士の場合はほとんどありません。博士の場合にはありえます。その先生しか出来ないという研究をしている時ですね。

あとは意外とよく見るのは、先生と学生の仲違いです(笑)。それでもそのままやり通すというケースもあるのですが、器量の小さい先生だと、あとになって「げへへ、あいつの博士論文の学位申請には印鑑を上下逆に押してやったぜ!」とかいう人もいます。

まぁ、そうだとしても博士号の質に影響はないからいいよという話もあるのですが、まぁ仲が悪いとアドバイスを確りもらえなかったりとか、卒業後の進路について協力を得られなかったりとデメリットもあります。自分が優秀ならそれでいいんですけどね。

博士課程の学生ともなると学会発表は年に何回もしないといけないので、そういった活動の中で自分に合うような先生を見つけて移転するという技もあります。ともあれ、このあたりはイレギュラーなのでその都度検討ですね。

で、本論にもどると、修士から博士のタイミングで研究室を移るというのは、修士でやっていることを更に伸ばして博士のテーマを考えたときにもっと違う分野の先生に師事した方が良いと思う場合や、自分の興味が別に移ってしまった場合などもあります。

前者の場合は、今の指導教官にお願いして先生を紹介してもらう(といってもこの先生に紹介してほしいということは自分で調べておいた方がいいです)という方法をとることが基本になるとおもいます。後者のケースでは全く違う分野ということであれば、学部の時と同じように自分で先生を探して、受入の了承を得て大学を受験するということになると思います。同じ大学内での研究室移動の場合は大学内で決まりがあるとおもうのでどちらにせよ先生に相談ですね。

大学名で選ぶの?研究室??

さて、ここまでで所属する「研究室」という表現をしてきました。ここで大学ではなくて研究室としているのにはもちろん訳があります。

大学の研究室というのはそれぞれが一つの企業のような物です。教授が社長で所属している教員が幹部そして学生が一般職員という感じで運用されています。もちろん大学全体がとっている方針が影響しないわけではないのですが、大学がすごいと言うことよりは、教授の考え方で運営がなされています。

ですので、大学名ではなくて、先生=研究室という考え方で所属する先を考えることが基本になります。

日本では学歴社会といわれており、学部まででは大学の名前で大学を選ぶことが多いですよね。そこで学べることは実はあまり変わらず、周りの学生の学力が高いだとか、旧帝大というような権威で語られることが多いです。

そして学歴社会ということであれば、大学院を卒業するとどんな学部卒よりも学位としては上ですがそういう判断はされません。

要するに、学歴社会といわれている日本の現状は学歴を尊重しているわけではなくて、大学名を盲目的に信じているという状況ですね。

さて、そんな「教育」を受ける場とちがって自身で研究を進めていくという意味では、自分がやりたいことについて、世界最先端に近い知見を持っている人が近くにいることが重要に決まっています。平等に与えられるべき教育の場とは違うのです。

ですので、そういった知見を持った先生を探すことが大事になってきます。そして、そういう先生の周りには同じようにその知見を持って先生とは微妙に違う方向に専門性を磨いている少し歴の浅い先生や、博士の学生がいたりするわけです。自分がやりたい研究に近い、複数の方向から最先端を極めようとする人たちがいるのが良い研究室です。

先ほども述べたとおりですが、研究室運営は教授の裁量です。ですので、大学名ではなくて先生の専門性と、研究室の運用方針が大事になってくるわけです。

ですので、大学院については大学名よりも先生の方が大事で、だからこそ先ほど述べたように博士の学生は先生が大学を移るといったときについていったりするのですね。

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