季節感を感じる上品なお料理たち。今月はやはり蟹。御料理貴船。

金沢の3つの茶屋街の一つ、主計町（かずえまち）の脇（笑）にあるお店です。そう、住所的には主計町ではないのです。

さて、予約が取れないことでも有名。一度行けたらその次の予約を取ってくると言う形でなんとか数ヶ月に一度お邪魔できています。1階と2階にそれぞれ2部屋あって一日に合計4組のみが入れる空間です。特に浅野川を望める2階の窓際のお席は素敵です。今回この席だったのですがあいにくお料理に夢中で外を望む写真を撮り忘れました…。

11月になると19時にはもう暗く、主計町の趣も素敵です。またお茶屋さんにもよりたいなぁと思いながら東山から浅野川大橋を渡って貴船さんへ。

お店に着いて、待ち合わせの友人たちを待っていると緑茶とおしぼりが供されます。このお茶がもはや出汁のような味がする別格のものでいつもとてもおいしく頂いています。ひいらぎやはこの日はすぐ近くの東茶屋街で三味線のお稽古をつけていただき、その帰りに少し東山のバーで練習をしてからお店にはいったので時間ギリギリ。でもしっかりお茶をいただけました。

そしてみんなそろったところで御料理が出てきました。最初は漆器の小さな器に赤くなった葉が載っています。と、この蓋を開ける前に…。

食前酒です。地元の日本酒吉田蔵Uでした。お酒が飲めない方はしっかりノンアルコールも用意されていますのでご安心を。一口だけ日本酒をなめてからコースがスタートします。

さて、実は新型コロナウイルス感染症対策で人との間に仕切りがあるので今回は大皿料理がありません。毎回最初の一品はその時候を象徴した題材での大皿と言うよりももはや芸術とも呼べそうな装飾がされたお盆が提供され、そこに盛られたお品を一つずつみんなでとりわけるというスタイルです。

ちなみにですが、こちらは過去の写真。お花見の季節ではこんな感じでした。本物の桜まであしらわれていて本当に美しいです。

こちらは七夕の季節。

そしてこちらがちょうど一年ほど前の紅葉の季節の御料理でした。それぞれ本当に美しくて、こういった彩りを見たくてというお客さんも多いのだと思います。今は残念ですが、またお目にかかれるようになるのも楽しみです。

食前酒で乾杯がおわったらいよいよ一品目の蓋をとります。蓮蒸し白子餡でした。蓮蒸しだけでも贅沢なのにそこに白子が…。当然おいしいに決まっています。

金沢市沖で水揚げされたかないわ香箱です。そうです。この時期はやっぱりこれ。王道にゆでただけで頂きます。

そして次も石川県の…ノドグロです。ノドグロの炙り寿司。芽ネギが素晴らしいアクセントです。ちなみにすでに見えていますがお皿もそれぞれが素晴らしいですね。久谷焼は有名ですが、柄物が多く御料理と合わせるのが難しいという話も聞きますが、これは素晴らしいです。（久谷じゃなかったらすみません…）

そして次に出てきたのが、ほら、やっぱり蟹です！ずわい蟹の養老蒸し。すりおろした山芋を食材の上に載せて蒸したものですが、今回はずわい蟹の繊維が上にのっていて見た目も美しいです。湯気で見えにくいですが、乗っている椎茸はのと115というブランド椎茸です。

そして日本海の冬の味覚は蟹だけではありません。先ほども出てきた白子にそれにやはり鰤（ぶり）です。鰤と白子のポン酢あんかけ。こちらも舌に乗せると溶けていきとても幸せな気分に。

そしてこちらは、揚げ海老芋の鮑味噌がけです。あげた海老芋の香ばしさに独特の香りの鮑の肝の餡がすばらしい風味を作っています。

そして、海鼠（なまこ）とボタンエビの和え物です。ソースはこのわたを使ったもの。このわたも能登の名物ですし高級品です。海鼠の内臓の塩辛なので海鼠を使ったこの料理に合わないわけはありません。

こちらは源助大根の鰻乗せです。鰻のお寿司に見えるのですが、お米に見えるのは炊いた源助大根。先日の笠舞おでんつぼみさんの記事でも取り上げましたが、源助大根は加賀野菜の一つです。ツメがかかった鰻とあっさりと炊かれたおでんが素敵です。

そして、百合根饅頭。上品なお味でした。

そして香箱ご飯です。しっかり内子も外子も入っていて風味豊か。内子は蟹の卵巣、外子は卵そのものです。これはどちらが好きかで玉に論争になっていますが（笑）、どちらもおいしいです。それぞれ歯ごたえが違って炊いたご飯に入っていても気持ちいい食感です。これを目当てに今回来たという人も（笑）

そして味噌汁です。そろそろコースもおしまいです。

デザートの前に出てきたは、ずわい蟹の身と蟹味噌をあえたものです。香箱がにをゆでたものは最初にでてきましたがこのずわい蟹もオーソドックスですね。ほぐしてくれてあるのが幸せです。

そして最後にココナッツアイスで締めです。それぞれとてもおいしゅうございました。

さて、このココナッツアイスの後ろに日本酒が見えますがもちろん結構飲んでいます。最初の食前酒の吉田倉Uの後はこんな感じ…。

• 吉田蔵U（石川県 吉田酒造店）（食前酒に追加して注文）
• 登蕾（石川県 鶴野酒造店）
• 三笑楽（富山県 三笑楽酒造）
• 天狗舞COMMON特別純米（石川県 車多酒造）

おいしい御料理とおいしいお酒で素敵な時間を過ごせました。