お浚い会会場

ついにお浚い会本番。小鍛治を立(たて)として弾く。オーディエンスなしで思ったよりは気楽に。そして、知人のほんの一言が精神を安定させてくれる。

半年くらい三味線のお稽古をサボっていたひいらぎやに急に三味線の先生からお浚い会(発表会)の連絡がきたのが10月。そして慌てて再開して、約5ヶ月でなんとか譜面をみて弾けるようになった小鍛治(こかじ)を人様に聞いていただくというイベントが今月ありました。演奏直前はとっても緊張していましたが本当にたった一言でその緊張が瓦解しました。こういう一言を言える人になりたい。

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当日の様子

今回はお昼頃からの開演で、直前に来てくれれば良いよといわれていたもののどうせいろいろと準備はあるだろうと10時ころには会場で準備をはじめました。

もちろんその時間にはひな壇を作る人たちはいらっしゃっていて作業中でした。ひいらぎやはお客さん向けの座布団をしいたり、我々の控え室のテーブルや椅子を倉庫から出して設置したりという作業をさせていただいたのでした。

自宅から着物を着ていきましたが意外と普通にうごけるもので、そりゃ少し前の日本人はこの格好で日常の作業をしていたのだよなぁと思うとまぁそんなものかと。

一方で、着物を着慣れていない方は最初から着せてもらったりしてたいへんそうでした。何より着せる人が…。ひいらぎやも袴ははけなかったので手が空いた隙を狙って先生に結んでもらいましたが、これも練習しておかないとなぁと思った次第です。

当日は、新型コロナウイルス感染症もそこまで収まっていなかったため、あまり公に人を呼ばず、身内だけ、という形でたくさんオーディエンスがいるということはなかったのですが、ひいらぎやは身内が3名ほど見に来ると行っていたのでマジで?思いながらドキドキしていたのでした…。

出番は3曲目と早めだったので始まってすぐにおわったということで、ドキドキがずっと続くわけではなかった分は楽でしたが、それでも緊張していました。

肝心の演奏は

演奏は、しっかりiPadで楽譜を見ながら(笑)すすめることができました。譜面を見ることの良さは、譜を追いかけられることはもちろんなのですが、もう一つ自然に下を見るということがあります。つまり会場を見ないということです。譜面を見ることに必死でオーディエンスが見えないので、なにげに「いつも通り」という感じにはなります。

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楽譜

とはいえ、発表会ですからちゃんと堂々とするのがよいのですけれど…。

演奏自体は、堂々と弾けたと思いますが、堂々とソロパートの音を間違えていました(笑)。あーーーとおもいましたが、知らない人にはわからない感じですね。

そしてソロパートはそれっぽくなんとか出来ましたが、一度完全において行かれてしまい弾けていないところが十秒ほどあったとおもいます。

長唄はやはり早さをきめるのは三味線の音で「走る」といいますが、緊張しているとどうしても走りがちになってしまい自分のクビをしめることになります。こういう点からもしっかりと練習してテンポを体に染みつかせることが大事ですね。

緊張をほぐしてくれた一言

演奏の前に、一緒の演目で歌を歌ってくれる方に「今日はよろしくお願いします」と挨拶をしたときのことです。

その方はひいらぎやが三味線を始めるずいぶん前から知っている方で、三味線を初めて、あ、この人も、こういうのに関わっていたんだと思った人なのですが、そんな人から一言。

「自分がこんなことを言える立場でもないけど、ひいらぎやさん最近とっても上手になったよね」

この一言で、「あ、上達しているんだ。それをみんなに見てもらう会なのだから完璧ではなくても伊野かも知れない」と思えたのです。

これで一気に楽になりました。こういうほんの一言の効用はすごいなと思った反面、どういったらどう効くかはケースバイケースでなかなか難しいだろうなとも思うのです。だからこういう一言で人の安心を作り出せる人はすごいです。

そしてこの方のおかげもあり無事に大事故を起こさずに演奏は終了しました。先ほど書いたとおりで小事故はあったのですが、これは幸いオーディエンスにはわからなかったようです。

さて、また一つ終わったわけですがこれからもまだまだ精進していかねばと思った次第です。良い経験でした。

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