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読んだ本。 投資する会社の株は永久に持っていられるかまで考える。労働者2.0の考え方とは。【ビジネスエリートになるための教養としての投資】奥野一成著

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本著は農林中金バリューインベストメンツのCIO(最高投資責任者)の奥野一成氏が長銀に入行してから様々な経歴と長銀の破綻などを経て、農林中央金庫にて、その頃日本ではまだ少なかった長期資産運用のプロジェクトを立ち上げた経験を元に投資の重要性について説明しています。投資の重要性自体は最近はよく言われていることですが、その理由と、短期的な「投機」との違いなどが紹介されており、これから投資を始めるのであれば必読の一冊なのではないでしょうか。

 

さて、聴いた本ではなくて読んだ本です。ひいらぎやは今年の中盤からがっつり楽天経済圏に生きるようになり、kindleからrakuten koboに乗り換えました。初めて使ったときにもらったポイントを使って買ったのが本書。読む方は余り進んでいなかったのですがお風呂につかりながらkindleでrakuten koboを起動するというひどいことをしながら読んでいます。

労働者1.0から労働者2.0への変革を

著者が現在の日本人に提案するのは労働者1.0から労働者2.0へのアップデートです。

労働者1.0の人は誰かに言われて組織の駒となって、労働力(すなわち時間)をお金に換えている人たちです。これに対して2.0にアップデートされると得られた資金に働いてもらってさらなる収入に変えるいわゆる投資家です。

昔の財閥を築いてきた日本人は労働者2.0の意識をもっていたのですが、敗戦を機に資金も物もなにもないところから、何かを作ることしか日本は出来なくなり、労働者1.0の考え方が染み渡ってしまったと著者は言います。

良い物を安く大量に作って売るという労働者1.0的な活動は、参入障壁が低く、すぐにマネをされてしまい、今や中国やそのほかのアジアの国々に過去日本が成功し、アメリカなどから奪ったシェアを、同じように奪われているというのが現在です。これとはことなりしっかりとここでしか出来ないことを持った企業を運用していくことで労働者2.0的な会社が生まれるのです。これはまさにブランディングの話ですね。この本で同じ事が書いてありました。

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アイデア

投資と投機

さて、本著では投資という考え方を進める一方で、投機はギャンブルなのでやめた方がいいと説いています。投資と投機は何が違うのでしょうか。

投資というのは、先ほど述べた参入障壁と当然ですが社会に対して明確な価値を提供でき、今後の社会情勢的にその付加価値が増大するかをはっきりと見極めた上で、そして行う物だと言っています。投機はよくあるテクニカル指標などをつかってグラフの形などから少し後の値動きを考えた上で短期間での売買を繰り返す物です。

ひいらぎやも昔FXの勉強会に参加したことがあり、その際にはいろいろなテクニカル指標を教えてもらってシミュレーションで遊んだことがあります。著者に言わせると、テクニカル指標というのは企業の力を評価した物ではなくて、グラフの動きという過去の知識から「こうなるんだろうな」と思うところにのっかるという、企業の本質を全く見ていない株の買い方です。過去の情報をもとにして未来の株を買うという時点でギャンブルであるといいます。

著者が投資をするときには5年以上という時間をかけて、各企業が持っている強みを様々な方向から確認すると言います。該当企業のそれぞれの担当者が認識している参入障壁がどこであるか。また、取引先や競合が認識するその企業の強さがどこなのか。などをしっかり調べその上で、しばらく株価を確認すると言います。

先ほどの投機とは全く違う考え方です。一度買ったら参入障壁などが消え去っていないかを確認して、それが存在し続ける上では永久に売らないという考え方ですすめているとのこと。投機とは全く違います。

本質は確かに企業がどうあるか

なるほどなと思いました。投資をする企業がどのような強みを持っているのかをしっかり知っていなければ本来株式投資などできません。非常にまっとうな事をおっしゃっており、テクニカル指標にだけ従って投機を行うと、運の要素が大きく付いてきます。

偉い人がなにか言っただけで大きく株価は変動します。ただ、企業に強い力があり、それが世の中の潮流にマッチしていて、そして長期にわたって投資していくという考え方で望んでいれば、株価が下がったとしても、その後他の企業と比べて株価が上がっていくはずなのです。そういった投資を行うことが必要だと著者は説きます。

といったところで、副業の素人には手を出せない世界だなと感じました。無理ですね。投資信託にお任せするしかないきがしてきました。そういう意味で、素人が個別株に手を出すのは危ないという理由をしっかりと理解する上での必読書です。

もう一点、こういった考え方を持つこと自体が労働者1.0と2.0での大きな違いです。投資をするという考え方を持っているかどうかでビジネスのなかでの立ち回りも変わると言うことも本書は示唆しています。

 

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