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audiobook.jpで聴いた本。47冊目。投資をする前に読む良書。人的資産を考慮し、経営者と同じ船に乗る投資をしよう。【世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意】 加藤航介 著

ひいらぎやもこれまで何冊も投資の入門書を読んで来ましたが、本著は初心者が真っ先に読むべき良書です。他の本との違いは自分がこれから稼いでいくおそらく最も身近で安全な資産である「給与」も考慮して投資のバランスをとることが提案されています。一般的に金融商品を買う一歩手前で自身の人的資産を考慮した考え方を身につけるだけでずいぶん方針が変わるはずです。

【audiobook.jp】 世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意 著者 加藤航介

投資の前に自分の人的資産を考える

冒頭で既に触れましたがひいらぎやがこれまで読んで来た投資入門書も結構な数になってきたと思いますが、それらは金融商品を買うところからがスタートとなっており、その中でバランスを取ろうと説いています。

本著が決定的に違うのは、その一歩手前で今後自分が稼いでいく給与を資産として見なし、それを含めたバランスを取っていくことが大事としているところです。

たとえば、30歳の日本で働く公務員が65歳まで平均年収500万円で働くとしたら今後のざっくりとした収入は500万円ずつ35年ですから、1億7500万円になります。そして、公務員ですからその収入の源は日本人の税金と言うことになります。

分散投資としてよく話されるのは、国内と国外、安定と成長の2つの軸で25%ずつの資産とするなどというパターンです。これに対して本著では、先ほどあげた公務員の場合は国内に自身の労働力を投資して、得られる安定資産が、1億7500万円あるとして考えると良いとしています。

もちろん収入すべてを残しておけるわけではないので、一定額目減りさせるとしても、年齢にもよりますが億以上のお金を今後宛てに出来る事がわかります。

そして、日本人の多くはおそらく日本で生まれ日本で勉強し、日本で就職していますので、商売の相手が日本人であることが多いでしょう。とすると国内の安定投資(日本での給与は安定していますよね)に強烈に偏った投資をしていることになるというのです。外資系では給与の元になる企業の収入が海外になるのでしょうけれど、それでも日本で働いている人の大半は日本からの収入が多いのではないでしょうか。

このような場合、日本の経済が傾くと、自身の労働力を投資して得られる給与という資産が将来的に不安定になり、額も減っていくことが考えられます。バランス投資の考え方をここに適用するのであれば、就職先を変更するよりも比較的簡単に売買が可能な金融商品は海外へ、そして成長分野へ投資することでバランスを取るのです。

経営者と同じ船に乗る

ひいらぎやはあまり知らなかったのですが、特に海外の経営者はその報酬を自社株で受け取っている割合が高いそうです。もちろん日本でもそのような企業はあるとのことですが海外企業の割合は日本にくらべてずっと高いそうです。

経営者は自社の株を報酬として定期的に受け取り、自分が業績を上げ、企業の価値をあげることができればこれまでにもらった株価が上がるわけですから、過去の報酬を実質的に押し上げることが出来るのです。

これがモチベーションとなり、常に最良の経営をするように動いていくというのです。先日読んだ「audiobook.jpで聴いた本。46冊目。地域再生のための各種課題を物語仕立てで紹介。そして物語として面白い。【地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門】 木下斉 著」で描かれる国の委員、担当者とは全く違うと言うことですね…。

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本著で述べる経営者と同じ船に乗るというのは、このように自社株を給与として受け取っている経営者ががんばって価値を上げようとしている株に相乗りしましょうということです。すなわち、株で給与が支払われている割合の高い企業の株を買うと言うことです。

株を買うということは経営者に対する監視として働く

本著でもう一つ大事だと思った点がこれです。

株を買うということはその企業に出資したことになりますので、企業の所有者の一人になります。やらかした企業の幹部が、株主総会なんかで株主に詰め寄られている映像なんかはたまにニュースでみることがありますよね。

こういう目がしっかりあると企業の経営は健全に保つような努力をします。先ほどの話では、報酬として自分の利益のために企業を成長させるということでしたが、株主の監視の目があるからという方面からもしっかり経営をしていくという考え方もあるのです。

そして、それはそれなのですが、ここで出てきたのがインデックスファンドとアクティブファンドです。インデックスファンドは「株価」だけに着目しており、その中の運営状況がどうなっているかについては全く関係がありません。

株主になるということは、自分が所有者になる企業を選ぶということですから、しっかり経営も見たくなります。そして、アクティブファンドのマネージャーはまさにこういうことをしているのです。ですので、インデックスファンドではなくアクティブファンドは儲かる儲からないというよりも社会を健全に成長させるという点では重要であると述べているのです。

とはいえ、インデックスファンドに負けるアクティブファンドを買うのは悲しいのでしっかり選んでおきたいところです。本著ではインデックスファンドとアクティブファンドの割合は半分ずつを勧めています。

上記3点は目から鱗

上記にまとめた3点は言われてみると確かにその通りだと思いますよね。我々日本人はやる気と健康を維持できれば、日本円をある程度稼ぐことが出来るはずです。この考え方は初めて出会った考え方でした。

そして現時点での日本のGDPは世界の6%程度とのこと。面積的に小さなこの国で全世界の6%の規模を持っていると言うことはすごいことですが、残りの94%は海外です。金融資産はやはり海外の商品を重視するのが良さそうです。

そう考えると、先日載せたひいらぎやの2022年2月時点の投資状況(ファイナンシャルプランナーさんとも相談して作った2022年2月現在の投資プラン)はアメリカに激しく偏っているものの、バランスは良さそうです。

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相談したファイナンシャルプランナーさんがそこまで考えていたのかは説明されていないのでわかりませんが、この考え方はひいらぎやとしてはなかなか気に入りました。ただ、将来得られる国内の安定資産、すなわち給与は小さくなっていくので、余剰金すべてを金融商品に回してしまうと、逆にバランスが悪くなっていくことになります。

しっかり日本円で貯金をしておくということもバランスを取るために重要ですね。

あ、そうそう本著は新入社員に投資の基本を教えるというスタイルですすめられていきますが、この新入社員の女の子のキャラと声がとてもかわいくてそれもあってとても楽しく聴かせていただきました。これもオーディオブックの醍醐味ですね。

【audiobook.jp】 世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意 著者 加藤航介
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