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audiobook.jpで聴いた本。41冊目。「錯覚資産」を積み上げる。認知バイアスをうまく使って自分の力を大きく見せることで、人生の攻略難度を下げる。【人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている】ふろむだ 著

「錯覚資産」という言葉はしばらく前に非常に流行ってテレビでも取り上げられたそうですが、恥ずかしながらひいらぎやは全く知りませんでした。人は誰でもあの人はあんな実績があるから、今後もきっとすごいことをしてくれるだろうというある種の思い込みがあります。これは実際の実力よりも過大に評価されることが多く、それに育てると良いチャンスが巡ってくると著者のふろむだ氏は言います。しかも錯覚資産をうまく運用して複利を得ることで実際の自分の実力を雪だるま式に大きく見せることができるといいます。本著ではこの傾向をうまくつかって人生をうまく回していくための方法が解かれています。

【audiobook.jp】 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている 著者 ふろむだ

錯覚資産てなんだ

錯覚資産とは人が認知バイアスによって引き起こされる感じ方の偏りのことです。「認知」はそのままの意味で物事や事象を知覚して、そしてそれを自分の中で解釈、判断することです。「バイアス」は偏りという意味ですから、正当ではなくて何かしらの要素により、解釈に偏りがでているという意味ですね。心理学用語のようです。認知バイアスにもいろいろとあるのですが本著は心理学の本ではないのでそのあたりはあまり詳しくは説明されていません。ただいくつかの例だけは紹介されています。

さて、このような認知バイアスによって実力以上の力を持っているとされると、他人が評価したその力の総量と実際の実力には差があるわけです。この部分が錯覚ですね。そして他人に実力を錯覚されているとそれにより当然良い影響もあることもあれば悪い影響もあります。この錯覚はだんだん膨れていったりするので株などと同じように複利で変化します。ということで著者は「資産」という言葉を使い、合わせて錯覚資産と呼んでいます。

錯覚資産はではどのように生まれるのでしょうか。たとえば、「あの人は良い大学を出ているからきっと今後成功するだろう」というのが典型的な錯覚資産として述べられています。未来のことなんてわからないですし、たまたま良い大学に入学できただけかもしれません(あえて卒業とかかなかったのは日本の大学では…という意味です)。

同じように、あのプロジェクトを成功させたからというのも同じです。作った企業を上場させたとか、どこかの会社の重役をしているといったことも同様だと行っています。プロジェクトも起業も大小ありますし、それぞれたまたま一緒に立ち上げた人が優れていただけかも知れません。それだけで単純に今目の前にいるその人に実力があるかどうかの理由にはならないのです。

世の中は錯覚資産であふれている

ふろむだ氏は、この錯覚をうまく活用して自分の立場をよくしていくことで生活の難度を少しでも下げることができると言います。なぜなら世の中には錯覚資産があふれているからです。

本著ではさまざまな実験の結果を示しながら例示していますが、たとえば、採用面接で面接官は無意識のうちに外見の良い人を採用しているということが実際あるそうです。このときにポイントなのは、面接官にそのような意識がないことです。無意識にこのような判断をしていることになります。この例だけではなくいろいろな例があり、人はそもそもこのように判断してしまうということのようです。

先ほど、認知バイアスのことはあまり説明されていないと述べましたが、本著でもよく出てくるのは「ハロー効果」です。ハローというのは、神様の後ろに指している光のことで、神様を神々しく演出する(といってしまうと怒られるかも知れませんが)効果がありますよね。

先ほど述べたこの人にはこれだけ実績があるからといった内容は、まさに実力以上にその人を見せるというハロー効果のたまものなのです。

さて、これ以外にも「感情ヒューリスティック」や「利用可能性ヒューリスティック」などもあります。科学の世界でも「ヒューリスティックに選んでるよねこれ」とか使うことがありますが、それ以上に厳密にいろいろと定義があるのは知りませんでした。

ひいらぎやが使っている「ヒューリスティック」というのは、何かしらの論理に基づいて行われているのではないというネガティブな意味を持つことが多かったですが、本来は、「先入観や経験によって直感的に答えを導く」という意味のようです。それが良い場合も悪い場合もあるようです。

「感情ヒューリスティック」は本当に感情や先入観で決めること、「利用可能性ヒューリスティック」は、身の回りにある判断基準だけでそれ以外の選択肢を考慮に入れずに判断をしてしまいがちという人間の習性のようです。しらないことは判断に入れられないのでしょうが無いという気もしますが、そういうことがあると言うことを自身で認識していれば緩和が出来るはずです。

以上のことは人間が無意識に判断する時に頭の中で行われていることですので、外からは見えないですし、そして何よりも重要なことは、判断をした人はそういったことで「不当に」判断しているという意識がないということです。

だから錯覚資産が存在すると言うことを理解することがまずは大事

ある評価を他人にされたとき、自分が他人を評価するときにこのような錯覚資産が働いているかも知れないと理解しておくことが大事だと著者は言います。自分と比べられた他人がどう見ても実力が無いと思えるときも、自分が素晴らしいと思った誰かに仕事をお願いする時にも錯覚資産が働いていないかを考えることが大事です。

井上大輔氏の「マーケターのように生きろ」では、職場で評価されているけどなんで?という人は、違う立場から見たときにメリットを提供しているのかもしれないという話がありましたが、ここでは更に一歩踏み込んでメリットを提供できる人として自分を見せているという人かも知れません。

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確かに↑の本も自分を売り込む方法についての本ですのでうまく錯覚資産を売り込んでいくという点はが通じるところがありますね。

錯覚資産を運用する

錯覚資産が必要なひととそうでない人はもちろんいます。ただ自分にとって錯覚資産が必要であったらどうすれば良いでしょうか。

錯覚資産は錯覚であるが故に自分がもともと持っている実力では届かないようなチャンスをもたらします。そしてそのチャンスをうまく成功に見せることができれば、錯覚資産が大きくなります。あとはこの繰り返しです。

ただ、全く実力がない人は錯覚してもらうだけの要素がありません。ですので若ければ「がんばっている」と言うことでも良いですし、何でもいいので小さな成功を積み上げて、錯覚を起こしテイクことが必要です。

そして、もちろん実績だけではだめでそれをアピールすることも大事です。いろんな人に自分の実績をアピールしていくことが大事です。

ふろむだ氏は、錯覚資産は

ハロー効果の強さ × 思い浮かびやすさ × 思い浮かべる人の数 × 思い浮かべる人の質

で決まるとしています。ですので、多くの人に対して自分が役に立てそうだと思ってもらうことが大事です。

最後に

ひいらぎやはこの考え方大好きです。職人さんがどれだけがんばってもその作品を宣伝してくれる人、売ってくれるひとがいないと認められません。これは錯覚資産ではなくてそもそも広報の問題ですが、これが更に進んでくると、正当な評価を得るというところから、正当な評価を飛び越えて過大評価となるということです。

嘘をつくのではなくてブランドを作るということにもつながりますが、ブランドと違うところは、錯覚は誰も保証していないところですね。勝手に相手が認知することでその価値が上がっていくことになるので、なかなかコントロールすることは出来ませんがそれをどうやるかについてのお話しが本著ではとかれています。

ただ少なくとも気をつけないといけないのは、資産ですから負の資産もあるということです。悪いイメージも大きくなると手をつけられなくなってしまうので、少なくともマイナスの錯覚資産はもたないように気をつけたいところです。

一度悪いことをしてニュースにでたりすると古くからの知人とされるひとが、「あああの人は前から素行がわるくて」等と行っているケースですね。逆に同じ人でも成功すると「あの人は昔から優秀だったから」となるわけです。このように過去を自分のように都合良く書き換えてしまうというのも人の性として説明されています。

興味があるかたは是非手に取ってみてください。

【audiobook.jp】 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている 著者 ふろむだ
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