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audiobook.jpで聴いた本。20冊目。テクノロジの進化の本質を捉え、それを踏まえてどう未来につながる電車に乗るかを考える。【 未来に先回りする思考法】佐藤 航陽 著

本著は、まずテクノロジーとは人の機能を拡張する事から始まったとして、本当に原始的な道具から、現代の最新技術までの道筋がどのような物であったのかを説明しています。そして、その経過の中で、国家やビジネスが担ってきた役割を整理します。現在のIT企業がどのような役割を担っているかを述べた上で、ではその先をどうやって予測するかを考える一冊です。前置きの理論の時点でとても面白いのですが、最後の先を予測する方法論もとても興味深いです。必読の一冊!

【audiobook】 未来に先回りする思考法 著者 佐藤航陽

テクノロジーの進化

テクノロジー、技術は人の能力を拡張するために生まれました。単純に考えると斧で効率的に木を切れるようになり、また、槍や弓で食料を得ることが簡単になったわけです。そしてそれは言葉も同じでコミュニケーションをより円滑にするためのものですね。もともとこういったとてもわかりやすい道具だった物が現在では高度化され、もともとの技術が見えにくくなっています。

でも、これらは技術的には連続している物で、急に新しい技術がぽんっと出てきたわけではありません。ですので、それぞれはつながっているのです。この考え方は重要で、だからこそ次の一手を予想することができます。

原理から考える

テクノロジーは、人の能力を拡張するために生まれました。であれば、それは拡張するための目的があったことになります。必要性があったからテクノロジーが開発されたのです。そのような視点を常に持っていることが重要です。

さて、過去、人類は効率的に生き延びるために国家を形成しグループとして活動していました。国の方針を決めるのにすべての人の意見を聞くなんて言うことは無理だったわけです。ですので、代表制をつくり、少人数で議論して国の方針が決められていました。そして現代までそれは続いています。選挙ですね。

一方で現代は若者の投票率の低さが問題になっています。著者はそれは当たり前なのではないかといいます。だって、かれらはもっと効率的にコミュニケーションを取る手段を持っているからです。そしてもともとのみんなの合意をとるために、すべての人が意見を出すと言うこと自体が難しい時代の選挙というシステム自体が古いのではないのかと言います。今時、すべての人が直接的に接続することができ、情報の共有も簡単です。であれば代表制である必要性はないのではないかと。

この考え方は衝撃的でした。選挙という物があたりまえのようにあり、それに対してどう動くかだけをかんがえていたひいらぎやは思考停止に陥っていたことになります。

「原理から考える」そうです、そもそもそれはなぜそうなっているのかを考え、そしてそれがなぜ変えられないのか…。これは先日聴いた、【コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法】にあった、What、Why、Why not、 Howの考え方と同じです。

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未来に先回りする思考法

最後に書かれていますが、これが本書での一番大事な主張です。著者は以下のステップを提案します。

  1. 常に原理から考える
  2. テクノロジーの現在地を知る
  3. タイミングを見極める

この3ステップをしっかり捉えて動くことが大事と言います。

原理については既に述べました。

テクノロジーの現在地を知るということは、単純にテクノロジーを使えるのではなくて、何が出来て何が出来ないのか、そしてその未来に何が実現できるかを考えて、自分なりの答えを導くことです。

そして、このようなテクノロジーの理解を複数持っておくことでそれぞれを掛け合わせ新しい分野を切り開くということが大事とも説いています。

AIはある目的のために作業を合理化していきます。すると、ある一つの目的のために最適化し非常に早く結果をだせるようになります。ですが、それでは余白をすべて捨てており、そもそも「目的」外にあった可能性も捨てることになります。それが出来るのが人間です。そういった分野間の接続を創り出すために、複数のテクノロジーに親しんでおく必要があります。

そしてタイミングです。世の中には時代を先取りしすぎて失敗してしまった天才が数多くいます。うまく時勢にのらなければ成功しないのです。

著者は新たなテクノロジーの開発はプラットフォームに入ってくる電車にいつのるのかという例を話しています。他の人が乗る前にできるだけ早く乗った方が先にいけます。でもしっかり準備ができていないと目的地にはたどり着けません。自分が乗るタイミングまでにできるだけ荷物をそろえてその上で乗れる一番速い電車にのるのです。何が必要か、このタイミングが正しいか、行き先の方向は正しいのか、それを見通せることができるかです。

もう一つ好きな例示がありました。自転車をいくら改良しても宇宙にはいけません。宇宙に行くには自転車を捨てて、全く別のものをかいはつしなければいけない。イノベーションのジレンマにもつながりますね。

常にそれぞれのテクノロジーの「原理」を考え、自分が進みたい道を考えていると、それぞれが有機的につながってくるはずです。これは何冊か読んだコーチングの本でもいわれていることですね。

【audiobook】 未来に先回りする思考法 著者 佐藤航陽

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